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逡巡のとりどり@京都


by anzu-ruyori
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もう これ以上生きられない★竹内浩三 筑波日記

「五月のように」さんより転載させていただきます。
http://www.h4.dion.ne.jp/~msetuko/tkozo/takeutisakuhin.html

なお、竹内浩三著 小林察編 「日本が見えない」(藤原書店)より
筑波日記 全文と写真版を参照させていただいています。

http://www.fujiwara-shoten.co.jp/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=510&cPath=177_222

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1944年 昭和19年

2月23日

  ああ、宮沢賢治は銀河系気圏へと昇っていった。
  昭和8年9月21日午前1時30分。
  うたをうたい
  こどもにはなしを聞かし
  肥料を発明し
  とまとを作って
  なんみょうほうれんげきょ
  昭和十九年
  ぼくの日本はアメリカと戦う
  アメリカがぼくの日本をおかしにきている
  ぼくは兵隊
  風の中
  腹のかなしみ
  腹のさびしみ
  それを云わず
  ただ もくもく
  最下層の一兵隊
  甘じて
  あまんじて
  この身を
  粉にして
  ああ うつくしい日本の
  国をまもりて
  風のなか 風のなか
  くゆるなし
  くゆるなし


(ロシア語で)もうこれ以上生きられない。

 もうなにも食べられない。
 谷田孫平と、林翁寺の境内の日向で、空豆、かじっている。
 外出するたびに、本屋をのぞくかなしさ。読めもしない本を、買いたしと。
 谷田孫平と二人で、出かけた。吉沼、うまい具合にまんじゅが買えた。宗道でうどん。

 下妻の時計屋で、聖歌合唱「ああ、ベツレヘムよ」のレコードを見つけ、
 かけておくれ、こわれています。

 夜、演芸会。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

きょうは外出。

部隊をはなれると空想の世界に心ひろがる浩三。


宮沢賢治へのあこがれ

自分の現実

「くゆるなし くゆるなし」といいながら、

「これ以上生きられない」と、ロシア語でかく浩三・・・

かつて、ヴィヴェ ジョアイユゥ(仏語 歓喜して生きよ)と、いった浩三なのに。

「林翁寺(りんおうじ)」下妻 

検索するとありました。場所は変わっていないのかなあ。いってみたい。
http://www.mapion.co.jp/m/36.18122_139.9615938_8/v=m5:%E6%9E%97%E7%BF%81%E5%AF%BA/


 映画の一場面のような、「かけておくれ」「こわれています」が、印象に残る。
by anzu-ruyori | 2012-02-24 01:06 | 浩三さん(竹内浩三)