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逡巡のとりどり@京都


by anzu-ruyori
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殯の森 @ 奈良100年会館

河瀬直美監督 「殯の森」をみた 

なら百年会館は、詩のボクシングなら大会の会場だったので
ほぼ一年ぶり。磯崎新設計の船体をイメージした建物 私はクジラって思うけど

映画の前に、主題曲の演奏 映画の後は、主演男優と監督のトークが
あって、充実した試写会 河瀬監督ご自身による そつのない進行・・・

殯 (もがり)・・・ 敬う人の死を惜しむ 偲ぶ時間 また その場所

物語は、茶畑の中にある古民家グループホームで暮らしている しげきさんと
新任の介護福祉士 真千子さんが、森をさまよって しげきさんの妻の墓を
さがしもとめるというもの・・・

一面みどりの田んぼや、山 空 流れる風の中 葬列が静かに続く盛夏の
風景から 映画がはじまる 葬儀のための さまざまな準備が、丁寧に整え
られていく・・・
 
 20年前の祖父の葬式を思い出した 棺の中に お弁当を いれたり、
家をでるときに、何回廻るとか ふるまいの蜜豆の豆の数はいくつとか 
ご近所の人がきてわいわいいいながら 支度していた
 粗供養の包みを一輪車にのせて集落を配ってあるいた

お洋服の上から 白い紙の 裃(かみしも)を
つけて、棺をかついで、お墓地まで 葬列が つづいた 

土葬だったから 棺の上に土をかぶせていって 
どんどん 棺がうまっていくのをじっとみていた


映画では グループホームのお年寄りたちのお顔がとても 素敵 
手をつなぎたい お話したい と 思った

森の中のシーンは、不思議でこわくて 
そこにいきたいような行きたくないような気持がした

真千子がまわすオルゴールの音と ともに なにか きらきらしたものが
空にまいあがっていくのがみえるような気持がした 
楽しく笑いながら天上にのぼっていくものの気配がした
死んでいくのかもしれないけれど いのちを感じるような力強くて 晴ればれとした
ものの気配。 
生きていることと 死んでいること それは つながっていると思った




以下、23日朝日新聞 文化欄 「殯とは?」より 抜粋

   日本書紀には、天皇の死後10日過ぎてから殯(もがり)が 行われたとある

   「もはや 蘇生しないと確かめたあと 荒ぶる魂にならないように鎮めるのが
   目的だった」という説  (及川智早帝塚山大教授)

   庶民の間にも殯の森の風習はあったようだ。しかし大化の改新の翌年(646)
   天皇あるいは天皇にきわめて近いもの以外の殯を禁ずる令がだされた。
   仏教の影響をうけて、火葬も広まっていく。
   死→葬の間は短くなり、殯はすたれていった

   昭和天皇が大喪の礼まで 一ヶ月間安置された「殯宮」の写真が 
   掲載されていた 白黒写真でよくわからないけど 西洋風なのが 
   今様皇室って 感じがした  畳の上ではないのね  って おもったら
   朝鮮風じゃん!納得 

                      
河瀬直美の名前をきいたのは ずいぶん前のこと 
育ての母であるおばあさんのドキュメント映像のしつような
カメラが、印象に残っている

1997年 カンヌで新人監督賞をとった 「萌の朱雀」は
遠くの山なみが、きれいだったのと 山間の村の静かで
陰鬱な感じが、リアルだなと 思った 

新作 殯の森 に 主演されている うだしげきさんは、
昨年詩のボクシングなら大会の直前に、うださんの古本喫茶「ちちろ」
出会った方。いまから詩のボクシングなんですよって、おそるおそるちらしを
渡したら、大会をみにきてくださったのです 
試写会のあと ロビーでお声かけて 昨年のお礼をいって 握手させていただきました
ごっつい手でした ちちろにまた ゆっくりいきたい


殯の森 @ 奈良100年会館_f0032106_122111.jpg朝から、しっくりと雨がふっていたけど 「昔の人は雨でも着物でしたから」と
いうわけで はじめての 雨の日の着物おでかけ 

化繊の洗える着物に、アンティークの帯 雨コートはないから帯びつけのまま
下駄には雨カバーをつけて
洋傘が、気にかかるが えいと なら町を歩く
                       今西家書院→

新緑が雨に映えて 「雨でよかったね」なんておもわずいってしまった
雨でも着物OK!
by anzu-ruyori | 2007-06-26 01:32 | アート