逡巡のとりどり@京都


by anzu-ruyori
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バレンタインと俺

一度だけ、手作りチョコを作ったことがある。

子どもとふたりで暮らした小さなアパートの小さな台所で。

それは、小学校2年の子どもが作りたいといったからだった。
うちの子は、男の子だった。

ちいさなチョコをいくつか作って、包装してリボンをかけた。
誰にあげるのかは、いわなかった。

ホワイトデーには、
おいしいクッキーのお返しがきた。

後日、うちの子がチョコをあげたのは、
クラスで一番 頭がよくてかっこいい男の子だとわかった。

そんなうちの子が、もう20才。時々、朝まで帰ってこない・・・。



「俺」

 うちの子には、一人称がなかった。

身体的には男の子だけど、スカートをはいたり 性別の男と女の真中に〇をしたり、
男の子をすきになっていた彼は、自分のことを「僕」とか「俺」とはいえずにいた。

ある時期は 女の子のように「うち」といっていた。

そんな子が、大学生になった。

そして、「俺」というようになった。
はじめて、それをきいたとき 
私はおもわず顔をあげて、
「オレ?」と、ききかえしてしまった。

「友だちと話すときは だいたい俺っていう」と、
めんどくさそうにいいかえした。

やせて背が高く ジーンズにダウンジャケットのよく似合う、
すっかり「男子学生」となった彼は、大学生活を楽しんでいるようだ。

さて、彼がはじめて「付き合う」のは彼氏だろうか彼女だろうか。

私はとても楽しみにしている。
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by anzu-ruyori | 2010-02-06 18:17 | 日々ログ
子どもを産んで20年たった。

子どもは すぐに大人になるのに、

大人はいつまでたっても「大人」になれないのよ。

と、ほろよいコンサートで加藤登紀子さんがいっていたなあ。



ああ、いろいろあって 楽しかった。

ーーーーーーーー 「楽しかった」と思うことで、そうじゃなかったことを
          封印して、自分は不幸ではなかったと自分に思い込ませてきたという
          ところも あったことに 最近 気がついて愕然とした。
          私もサヴァイバーであったと自覚することも大切だと思った--------

いろいろあったから、20年どころじゃない 50年くらいたった気がする。

でも、子どもは20才だから、やっぱり 20年なんだ。

「はたちってどんなかんじ?」と聞いたら、予想どおり「別に」という返事の

絵に描いたような 普通のはたちの男の子になりました。


私は、寅年で、つぎの周り年には 還暦だと 気づいて 笑けた。

ああ 早く還暦になりたい!



牛の鈴音 という映画をみた。

http://www.cine.co.jp/ushinosuzuoto/index.html

ハルモニとハラボジと牛の話。まさに、牛歩の物語。

土のにおいをかぎたいと思った。

ゆっくりと時間の流れるところにいる人のことを思いながらみていた。


はたちの青年は、「怪獣たちのいるところ」をみにいきました。

2年前の誕生日の話↓

http://miteikou.exblog.jp/7370912/


はたちの青年が帰ってこない晩に、

山尾三省さんの詩集を出して、「食パンの歌」を声に出して読む。

20歳を前に屋久島をでていく長男にむけて歌われた詩だ。

●−♢−●−♢−●−♢−●−♢−●−♢−●−♢

おまえもよく知っているように
私達の家ではめったに食パンを食べない
たまに食パンを食べるのは 病人が出たときとか
順子 が熱病のように食パンを食べたくなったときか
思いもかけないお金が入ったときかである
……

東京というところは 食パンなどありふれた食べもので
……
それをみすぼらしい食べものと感じ、時に汚らしい食べのものと感じるところだ
……
いつか食卓の上のひときれの食パンを
そのように感じて見向きもしないときがくる
……
その時は
(よく覚えておいてほしい)
父親である私の思想が死に直面している時であり
父親でも私でもないひとつの真理が 死に直面しているときである
……

●−♢−●−♢−●−♢−●−♢−●−♢−●−♢

私は三省さんのようには、生きていけないけれど

ただ この詩のなかで

「私はこれまで ただ一緒に住んできたというだけで おまえに何ひとつしてやれなかった」

というところでは、三省さんと同じだと痛切に感じている。
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by anzu-ruyori | 2010-02-05 21:43 | 日々ログ