逡巡のとりどり@京都


by anzu-ruyori
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モウジキ 春ヤ★竹内浩三 筑波日記

「五月のように」さんより転載させていただきます。
http://www.h4.dion.ne.jp/~msetuko/tkozo/takeutisakuhin.html

なお、竹内浩三著 小林察編 「日本が見えない」(藤原書店)より
筑波日記 全文と写真版を参照させていただいています。

http://www.fujiwara-shoten.co.jp/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=510&cPath=177_222

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1944年 昭和19年

2月10日

 冷い手が、白い息をふうふう浴びて、

 石炭の山で石炭をひろって、炭バケツへほりこんでいた。

 冷たい手が、防火用水の氷をわって、バケツに水をくんでいた。

 高木一等兵が、こないだのけんかで足を痛め、みんな演習に出て、
 だれもいない班内でひとり寝ていた。
 けんかして、ばちがあたったと云っていた。
 気の毒でなんとかなぐさめてやろうと思ったけれども、
 ことばがないので、 
 その横に寝て、もうじき春や、と云った。


 X線撮影と血沈検査があった。ぼくの静脈は細いので、いつも血沈には難ぎする。
ピストンの中へ空気ばかりじゅくじゅく、入って、血は一向に入らない。
二度さしなおした。それほどいたいわけではなかったけれども、
ぼくは悲壮なおももちであった。これをするたびに、姉の静脈もほそかったと
云うことを想いだす。遺伝であろう。

 夜、中村班長が餅をくれた。

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「もうじき 春や」
浩三、やさしいなあ。そんな浩三が、好きだ。

「みんな演習に出て」というのに、浩三は参加していないのですな。
また、三嶋少尉の発明を文章化していたのか。

「石炭の山」って、ボタ山だろう。
炭坑が近くにあったのだなあ。

血沈とは?

「少量の凝固防止剤を混ぜた血液を細いガラスの管に吸い上げて、これを垂直に立て時間が経つにつれて血球が沈降するためにできる上澄みの高さを測る検査法のこと。赤沈(せきちん)とも言います。炎症や組織の崩壊などの病変のあるとき早く進むため、病変の存在を知るスクリーニングとしてよく用いられます。たとえば、結核や肺炎などの感染症、心筋梗塞、白血病、紫斑病、ネフローゼ、膠原病、その他アレルギー性疾患やDICのような異常病態まで、この検査によって疑われる病気は数多くあります。」

とのことですが、
母(昭和12年生まれ)が今も「血液検査」のことを「けっちん」といっていたように思います。

こうさんは、今94歳です。血液検査のときに、
浩三の「静脈のほそかったこと」を思い出すことがあるでしょうか。
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by anzu-ruyori | 2012-02-08 22:56 | 浩三さん(竹内浩三)