逡巡のとりどり@京都


by anzu-ruyori
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マルデカナシイ国ノ灯台ノヤウデアッタ★竹内浩三 筑波日記

3月7日  【火曜日】
 中るはずである。中るように仕組んであり、   ※中る(あたる)
中らないはずはないのだ。けれど対空射撃は中らないことになっている。

 中隊当番に上番する。

 雨がふってきた。冷たい雨であった。
 こんな日は火鉢にあたって、饅頭を焼きながら、
胡桃割人形でも聴いていたい。


3月8日  【水曜日】

 きょうは、水曜だから、本当は休みなんだけれど、
 今後休日は取り止めと云う命令を聯隊長の名に於いて出したから、
 はなしがおもしろくない。
 郵便局も、役所も日曜はなしになったと云うが、それとこれとは、
 同じ話のようで実は全然話がちがう。

 ひるから、班の編成替えがあって、ぼくは七班から三班へかわった。
 引越は谷田孫平がぜんぶやってくれた。
 こんどの班長は、木村伍長。班付は岩佐伍長、下村伍長。
 中村班長のところへ、両親が面会にきて、下士官室で会っていた。
 お茶を持っていったら、「光」を一つくれた。
 二人ともばかに体小さい人であった。水いらずで、夕食を喰っていた。

 営外者の詰め切り教育で、全部中隊へ泊まったから、そのいそがしいこと、
 テンプラをあげているみたいだ。

3月9日  【木曜日】

 みんな、弁当持ちで演習に出かけた。
うるさい連中がいなくなったから、こちらは「日曜日日ノ丸」である。

 空気がよくよく澄んでいるのであろう。いつも見たことのない信州の山々まで見えた。
 ストーブのところで、いねむりした。

 夜になると、何をするのか、
飛行場の端に、標識の青い燈が、いくつもついた。

月夜デ、飛行場ガ海ノヤウデ、
ソレガ、マルデカナシイ国ノ灯台ノヤウデアッタ。


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「営外者の詰め切り教育」とは、在郷軍人の再教育のことだろうか?

 「いそがしい」ことのたとえに「テンプラをあげているやうだ」とは
 浩三さんはテンプラをあげたことがあるのか?
 それとも竹内家の台所でみていたのだろうか?
 
夜の飛行場 その明かりを「マルデカナシイ国ノ灯台ノヤウデアッタ」
詩心を誘う風景の中にいる浩三。


竹内浩三「筑波日記」は、

「五月のように」さんより転載させていただきます。
http://www.h4.dion.ne.jp/~msetuko/tkozo/takeutisakuhin.html

なお、竹内浩三著 小林察編 「日本が見えない」(藤原書店)より
筑波日記 全文と写真版を参照させていただいています。

http://www.fujiwara-shoten.co.jp/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=510&cPath=177_222
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by anzu-ruyori | 2012-03-08 21:36 | 浩三さん(竹内浩三)