逡巡のとりどり@京都


by anzu-ruyori
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貧シイコトバシカ持タナイ★竹内浩三 筑波日記

3月16日

 中隊の軍装けんさや聯隊の軍装けんさがあったけれども、こちらには用がないので、班内でボウとしていると、一日たった。

 夜になると、きのうの映画のやりなおしがあった。外套を着こんで見に行った。
 電気の具合が悪いとかで、桶に塩水を入れて青い火花を出してみたり、
 いろいろやっていたが、らちがあかない。とどのつまりが、中止になった。

 星の飛行場が海のようだ。

 便所の中で、こっそりとこの手帳をひらいて、べつに読むでもなく、友だちに会ったように、
なぐさめている。そんなことをよくする。この日記に書いていることが、実になさけないような気がする。こんなものしか書けない。それで精一っぱい。それがなさけない。もっと心のよゆうがほしい。

 中井や土屋のことを思う。よゆうのある生活をして、本も読めるだろうし、
ゆたかな心で軍隊を生活し、いい詩やいい歌を作っているだろうなと思う。

 貧しいことばしか持たない。だんだんと、ことばが貧しくなるようだ。

 消灯前、ケダラケノ夜。頭
 コウコウトツカラ人ノ声、ケダラケ。
 クルブシ、ウルブシ、ケブル電燈。
 床ヤ毛布ノ光沢。声ガサクソウシ。
 外ニハ星ガアルダラウシ、
 飛行場ニハ、枯レタ土ガアルデアラウ。
 飯盒ノ底ニカラカラノ飯粒ガアルヤウニ、
 虫ノヤウナ眠リヲモッテ
 太陽ニ無感覚デ、ヨゴレタ服ヲキテイル。

挺進部隊本領
 挺進部隊は全軍に挺進し、偉大なる空中機動力を以て
 最も緊要なる時機に於て、長駆よく敵を奇襲し、敵の戦略要点を確保し、
 戦捷の途を拓くものとす。

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コウコウトツは、後頭骨か?
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by anzu-ruyori | 2012-03-19 22:33 | 浩三さん(竹内浩三)