つくばの風の強い夜の話★竹内浩三★筑波日記
2012年 05月 10日
昭和19年
5月9日 【火曜日】
中隊当番下番。田中准尉の使役で、からす口で線なんかひいていた。
山室貴奴子からたよりがきた。阿蘇山の春をうたっていた。
5月10日 【水曜日】
田中准尉の使役をしていた。姉から手紙がきた。
こないだ小林が外泊したときに出してもらった手紙を、岡安のおばさんがかんちがいして、
姉夫妻は、その小林のふるさとなる京都府なんとか郡にぼくがいると思って面会に行ったと云う。
とんでもないことだ。
5月11日 【木曜日】
朝のうちは、田中准尉の使役であった。ひるからは、石炭はこびをした。
きのう、小ねずみを見つけた。
ズボンのポケットに入れていた。夕食のオカズのジャガイモを一きれやった。
おびえていて、たべなかった。雑嚢へ菓子のかけらと一緒にいれておいた。
きょうの夜間演習に雑嚢へいれてつれていった。
松林の中で出したら、一もくさんににげていった。
風の強い夜であった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
小ねずみの話は、童話になりそう、題名は「兵隊さんと小ねずみ」
浩三さんが戦争から帰ってきていたら、映画を作ったり、詩をかいたりして、
ときには、童話をかいたかもしれないなと思う。
つくばの風の強い春の夜の話。
5月9日 【火曜日】
中隊当番下番。田中准尉の使役で、からす口で線なんかひいていた。
山室貴奴子からたよりがきた。阿蘇山の春をうたっていた。
5月10日 【水曜日】
田中准尉の使役をしていた。姉から手紙がきた。
こないだ小林が外泊したときに出してもらった手紙を、岡安のおばさんがかんちがいして、
姉夫妻は、その小林のふるさとなる京都府なんとか郡にぼくがいると思って面会に行ったと云う。
とんでもないことだ。
5月11日 【木曜日】
朝のうちは、田中准尉の使役であった。ひるからは、石炭はこびをした。
きのう、小ねずみを見つけた。
ズボンのポケットに入れていた。夕食のオカズのジャガイモを一きれやった。
おびえていて、たべなかった。雑嚢へ菓子のかけらと一緒にいれておいた。
きょうの夜間演習に雑嚢へいれてつれていった。
松林の中で出したら、一もくさんににげていった。
風の強い夜であった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
小ねずみの話は、童話になりそう、題名は「兵隊さんと小ねずみ」
浩三さんが戦争から帰ってきていたら、映画を作ったり、詩をかいたりして、
ときには、童話をかいたかもしれないなと思う。
つくばの風の強い春の夜の話。
by anzu-ruyori
| 2012-05-10 20:48
| 浩三さん(竹内浩三)