逡巡のとりどり@京都


by anzu-ruyori
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クリーム色のたよりない夕方であった★竹内浩三★筑波日記

昭和19年

5月13日 【土曜日】

 班内に花をいけることがゆるされた。
 サイダービンに、つつじと菜の花とボケをさした。

 窓が開けはなしてあって、五月の風がすうすう流れてはなはだ具合がよかった。
 ぼくは、はだかになって、花を見ながらめしを喰った。
 ひだりの腕は銃剣術で、むらさき色をしていた。

 きのうの外出のとき、宮崎曹長のところへ遊びにゆかねばならぬことになっていた。
 ゆかなかったので、きげんを悪うしていた。

 山室貴奴子からハガキがきた。

5月14日 【日曜日】

 中隊の銃剣術の試合があって出た。九人として、二本かった。
 からだがだるうて、なんにもしとうない。
 ひるから防空壕を掘った。

 クリーム色のたよりない夕方であった。

 あした、部隊の銃剣術の競技会があるので、亀山とふたりで、
そのあいだだけ中隊当番につくことになった。

5月15日 【月曜日】

 がらんとした事務室で『春をまちつつ』を読んでいた。乾省三からハガキがきた。
 二十八日に面会にくるかもわからないとあった。

 「一日として事なき日はなし」
 ゾラが坐右銘にしていたという。

 部隊の銃剣術でうちの中隊はビリであった。

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軍隊では、花を生けることも許可がいるのだ。
by anzu-ruyori | 2012-05-14 17:24 | 浩三さん(竹内浩三)