逡巡のとりどり@京都


by anzu-ruyori
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命びろいした笑顔が笑っていた★竹内浩三★筑波日記

6月20日 【火曜日】

 休みであったけれども、外出はしなかった。
班内で寝そべって、姉が送ってくれた『映画戦』を読んでいた。
ひる、酒が上った。目のふちを赤くして寝ていた。

6月21日 【水曜日】

 おとといやった使役のつづきを、一日やった。
手箱の奥から、中井利亮が入隊前におくってよこした詩が出てきた。
利亮をいとおしく思うこと切であった。

6月22日 【木曜日】

 森の中で演習をしていた。森の中を二人ハン走でキカン銃をもってはしっていた。
がむしゃらであった。目を閉じているときの方が多かった。
緑色が、たてにながれた。海の底のようであった。熱い汗であった。

6月23日 【金曜日】

 朝、森の中で演習をしていた。

 ぼくたちのいる目の前の林空へ、グライダァが不時着した。

 松の木にすれすれになったかと思ったら、
 グイと曲げて、車輪を外した。
 車輪をぶらさげて、草原へざっと落ちてきた。車輪が外れて、舞い上った。

 命びろいをした顔が笑っていた。

 ひるから、あしたの増加衛兵の準備であそんでいた。

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23日のグライダア不時着の描写が、すてきだ。
映画のようだ。「命びろひをした」兵隊の笑顔が目に浮かぶ。

筑波で演習の夏がはじまった。
by anzu-ruyori | 2012-06-19 19:12 | 浩三さん(竹内浩三)