小川未明の野ばら
2018年 01月 12日
そこには両方 の国 から、ただ一人 ずつの兵隊 が派遣 されて、国境 を定 めた石碑 を守 っていました。
毎日顔をあわせていたふたりは次第に仲良しになっていきます。
日がな一日将棋をしたり、同じ風景をみて心穏やかにすごしていました。
ところが・・・
やがて冬 が去 って、また春 となりました。ちょうどそのころ、この二つの国 は、なにかの利益 問題 から、戦争 を始 めました。そうしますと、これまで毎日 、仲 むつまじく、暮 らしていた二人 は、敵 、味方 の間柄 になったのです。それがいかにも、不思議 なことに思 われました。
「さあ、おまえさんと
青年は、仲良しになった老人を殺すことなんてできません。
戦争をしている北のほうに、いってしまいました。
ひとり残った老人は、毎日青年のことを案じながらすごしていました。
小川未明「野ばら」より
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息子の公演が、近づいてきた。
題名は「未明」大正から昭和のはじめにかけて、活躍した童話作家、小川未明の作品がモチーフ。
「野ばら」を読んで、少しびっくりした大正時代にかかれたのに、まるで今の政情を暗示しているような寓話だ。
そして、20代の人たちがこれを選択したことに、複雑な気持ちがしている。
大正時代が大戦の狭間、日中戦争前夜であったように、今もそのような気配を彼らは感じているのだろうか。
構成・演出:田中史明
演出・出演:飯坂美鶴妃、小倉笑、菅一馬、前田愛美、柳泰葉
原作:小川未明
日時
2018年
1月13日(土)15:00、19:00
1月14日(日)14:00
*開場は開演の20分前
会場
京都芸術センター
by anzu-ruyori
| 2018-01-12 00:17
| アート